結論:DXハイスクールの予算は、生成AIの授業に使う機器・ソフト、外部の専門人材による授業などに充てられる可能性があります。 文部科学省は支援対象の例に「動画・画像生成ソフト等」や「専門人材派遣等業務委託費」を挙げています。ただし、申請するのは学校ではなく教育委員会や学校法人で、「情報Ⅱ等」の開設などの要件を満たす事業計画の中に位置づける必要があります。
この記事は、文部科学省の令和8年度 高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)のページと、事業概要・実施要領・採択基準・採択結果の資料をもとに、2026年9月時点の内容で書いています。個別の経費が対象になるかどうかは、設置者の担当部署と文部科学省の資料で必ず確認してください。
授業の組み立て方そのものは、高校で生成AIの授業を始めるときに決めておく5つのことで詳しく書いています。
DXハイスクールとは?
正式名称は「高等学校等デジタル人材育成支援事業費補助金(高等学校DX加速化推進事業)」です。文部科学省は事業の内容を次のように説明しています。
情報、数学等の教育を重視するカリキュラムを実施するとともに、専門的な外部人材の活用や大学等との連携などを通じてICTを活用した探究的・文理横断的・実践的な学びを強化する学校などに対して、そのために必要な環境整備の経費を支援する
令和8年度の事業は令和7年度補正予算(52億円)によるもので、公立・私立の高等学校等(中等教育学校後期課程、特別支援学校高等部を含む)が対象です。
いくらまで補助される?
補助は定額補助で、上限は学校の採択年次と類型で決まります。
| 区分 | 補助上限(1校あたり) | 想定校数 |
|---|---|---|
| 新規採択校 | 1,000万円 | 100校程度 |
| 継続校(2年目) | 500万円(重点類型は700万円) | 200校程度 |
| 継続校(3年目) | 300万円(重点類型は500万円) | 1,000校程度 |

重点類型は、グローバル型、特色化・魅力化型、プロフェッショナル型(半導体重点枠を含む)の取組を重点的に行う学校に上限額を加算するものです。令和8年度は、2026年1月21日から2月27日まで申請を受け付け、4月1日に1,249校(公立920校、私立329校。うち重点類型80校)の採択が発表されました。
継続校は年次が進むほど上限が下がります。1年目に大きな機器を入れ、2年目以降は授業の運営や外部人材の活用に比重を移す、という計画の立て方が現実的です。
何に使える?生成AIの授業・環境での考え方
補助対象経費の区分
文部科学省のページでは、補助対象経費として次の区分が示されています。
設備備品費及び関連経費、委託費、雑役務費、消耗品費、人件費、諸謝金、旅費、借損料、印刷製本費、会議費、通信運搬費、保険料
事業概要の「支援対象例」には、ICT機器整備(ハイスペックPC、3Dプリンタ、動画・画像生成ソフト等)、遠隔授業用を含む通信機器整備、理数教育設備整備、専門高校の高度な実習設備整備、専門人材派遣等業務委託費が挙がっています。
生成AIの授業に当てはめると
| やりたいこと | 関係しそうな経費区分 | 考えておくこと |
|---|---|---|
| 生成AIを使う授業用のPC・ソフトをそろえる | 設備備品費、借損料 | 授業で使う台数と、校内のネットワーク・フィルタリングとの整合 |
| 校内だけで動く生成AI環境(ローカルLLM)を置く | 設備備品費及び関連経費 | 生徒の学習データを外部に出さない方針と、保守を誰が担うか |
| 企業の専門人材に授業を担ってもらう | 委託費、諸謝金、旅費 | 「情報Ⅱ等」の授業計画の中での役割と時数 |
| 教員が生成AIの使い方を学ぶ | 委託費、諸謝金 | 授業改善につながる内容かどうか |
どの経費が対象になるかは、事業計画の内容と交付要綱に沿って判断されます。上の表は、区分の当てはめ方の目安として読んでください。
採択基準で評価される取組
採択基準(基本類型・重点類型共通)には、生成AIの授業設計に関係しそうな評価項目がいくつかあります。
- 研究開発法人・大学・高等専門学校や民間企業等との連携により、企業の専門人材や外部コンテンツを活用すること
- 情報Ⅱ等の充実のため、外部専門人材を活用すること
- 高機能のICT機器等を活用した観察・実験・実習の機会を増やすこと
- 情報モラル(法律や規則を守る態度、情報セキュリティを確保する態度など)に関する学習を授業に取り入れること
生成AIの授業は、使い方の説明だけでなく、著作権や個人情報、出力をうのみにしないことなどを扱う場面が多くあります。情報モラルの学習として位置づけると、授業の目的と評価項目がつながります。
申請するのは誰?要件は?
申請者は学校設置者
実施要領では、補助事業者を「都道府県、市町村、公立大学法人又は学校法人」としています。
- 公立高校:都道府県教育委員会が、設置する学校の事業計画書を取りまとめて文部科学省へ提出
- 私立高校:学校法人が作った事業計画書を、都道府県知事が文部科学省へ提出

先生が最初にすることは、自校の設置者(教育委員会の担当課、または法人事務局)に、申請の意向と取りまとめのスケジュールを確認することです。
主な要件
要件は採択年次によって書き分けられていますが、共通する柱は次のとおりです。
- 「情報Ⅱ」または「数理・データサイエンス・AIの活用を前提とした実践的な学校設定教科・科目」などの「情報Ⅱ等」を開設している、または開設すること
- 採択基準に沿った取組を実施すること
- 補助事業の完了後、翌年度から5年間、取組状況報告書を提出すること(文部科学省が公表することがある)
- 事業の内容・成果をホームページ等で積極的に公開すること
また、ほかの補助金や委託事業と重複して同じ経費を補助対象にすることはできません。スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校など、申請できない学校や類型の組み合わせも定められています。
採択校の先生が、いま確認したいこと
2026年10月の時点で、令和8年度の採択校は年度の後半に入っています。予算を生成AIの授業や環境に使う場合は、次の点を設置者と確認しておくと手戻りが減ります。
- 交付決定の内容:事業計画書に書いた経費の区分と金額。生成AI関連の機器・委託費がどこに入っているか
- 年度内の執行:発注・納品・支払いを年度内に終えられるか。機器の納期、授業の実施時期
- 成果の公開と報告:取組状況報告や公開のために、授業の記録(計画、生徒の成果物、振り返り)をどう残すか
- 来年度以降:継続校は上限が下がるため、機器の保守や外部人材の費用を来年度にどう組むか
令和9年度の公募日程は、2026年10月1日時点で文部科学省の事業ページに掲載されていません。文部科学省の発表を確認してください。
TERRAISEがお手伝いできること
TERRAISEは、教育機関向けに生成AIの授業設計、教員研修、校内のAI環境づくりを行っています。
- 惺山高等学校(山形県):ネットを介さない校内専用のローカルLLM環境を、サードウェーブと共同で構築(日本初の高校内ローカルLLM環境)。事例を見る
- 岩倉高等学校:キャリアデザインコースのカリキュラムパートナーとして、1学年200名×年間30コマの授業を共同で設計・実施。事例を見る
- お茶の水女子大学:学部・大学院の正規講義を担当
DXハイスクールの計画づくりでは、授業のねらい(情報Ⅱ等の中で何を学ばせるか)、生徒の情報をどう扱うか、機器と外部人材の役割分担を、事業計画に書ける形に整理するところからお手伝いできます。申請手続きは、設置者(教育委員会・学校法人)が行います。
ローカルLLMについてはローカルLLMとはで、ほかの公的支援との違いは補助金と助成金の違いで解説しています。
学校向けのご案内は教育機関向けのページにまとめています。60分の無料相談では、学校の状況(採択の有無、学年、情報の授業の体制)をお聞きして、何から始めるかを一緒に整理します。校内での検討用に会社紹介資料もお送りします。
出典(2026年9月26日確認)
- 文部科学省「令和8年度 高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」
- 同「令和8年度 高等学校DX加速化推進事業(事業概要)」(PDF)
- 同「高等学校DX加速化推進事業 実施要領」(PDF・令和8年1月21日一部改正)
- 同「採択基準(基本類型・重点類型共通)」(PDF)
- 同「令和8年度 DXハイスクール 採択校の決定について」(PDF・令和8年4月1日)
