デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)で生成AIツールを導入するには

旧IT導入補助金の「デジタル化・AI導入補助金2026」で生成AIツールを導入するときの補助率・補助額、対象経費、申請の流れ、締切、注意点を、公募要領と事務局の公表情報(2026年10月時点)をもとに整理します。

生成AIツールの導入に補助金を使う(助成金・補助金/2026年9月時点/最大450万円 通常枠の補助額)
Category
助成金・補助金
Updated
2026.10.01
Reading
約10分
Author
株式会社TERRAISE
Supervisor
舟橋 遼亮(代表取締役CEO)

結論:生成AIツールも、事務局に登録された「ITツール」であれば、デジタル化・AI導入補助金2026の対象になり得ます。 通常枠の補助率は1/2以内、補助額は5万円から最大450万円です。ただし、登録されたIT導入支援事業者から導入すること、交付決定の後に契約すること、労働生産性を上げる3年間の計画を立てることが前提になります。

この記事は、事務局が公表している公募要領(通常枠)と事業スケジュールをもとに、2026年10月時点の内容で書いています。制度内容やスケジュールは変更されることがあります。申請前に必ず事務局の公式サイトで確認してください。

研修の費用を下げたい場合は、この補助金ではなく助成金が合うことが多いです。全体像は生成AI研修・AI導入に使える助成金・補助金のまとめで整理しています。

デジタル化・AI導入補助金2026とは?

正式な事業名は「中小企業デジタル化・AI導入支援事業」です。以前の「IT導入補助金」の後継にあたり、中小企業・小規模事業者などが生産性向上に役立つITツールを導入する費用の一部を補助します。事務局はTOPPAN株式会社が運営しています。

この補助金の一番の特徴は、企業が単独で申請するのではなく、事務局に登録された「IT導入支援事業者」と共同事業体をつくって申請する点です。補助の対象になるのは、IT導入支援事業者が事務局に登録した「ITツール」だけです。公募要領では、ITツールを「ソフトウェア(AIを含む)・オプション・役務・ハードウェアの総称」と定義しています。

中小企業は、事務局に登録されたIT導入支援事業者と共同事業体をつくって事務局へ申請する。補助の対象は、IT導入支援事業者が登録したITツールだけ
FIG.01IT導入支援事業者と共同で申請する

申請枠は?

枠 主な対象
通常枠 業務の生産性向上につながるソフトウェア・クラウドサービス。生成AIの導入で主に検討する枠
インボイス枠(インボイス対応類型) 会計・受発注・決済の機能を持つソフトウェアと、PC・レジなど
インボイス枠(電子取引類型) 発注側が受注側に無償でアカウントを発行できる受発注システム
セキュリティ対策推進枠 IPAの「サイバーセキュリティお助け隊サービス」
複数者連携デジタル化・AI導入枠 商店街など複数の事業者が連携して行うIT導入

以下では、生成AIツールで使うことが多い通常枠を中心に説明します。

補助率・補助額はいくら?

項目 通常枠(2026年10月時点)
補助率 1/2以内。令和6年10月〜令和7年9月の間に、令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合は2/3以内
補助額 1プロセス以上:5万円以上150万円未満/4プロセス以上:150万円以上450万円以下
対象経費 ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費

「プロセス」とは、ITツールがカバーする業務の種類のことです。顧客対応・販売支援、会計・財務、総務・人事・教育訓練など、事務局が決めた区分があり、ツールごとに登録されています。

何が対象経費になる?

  • ソフトウェア・クラウド利用料:サブスクリプション形式の利用料は最大2年分
  • オプション(機能拡張・データ連携・セキュリティ):最大1年分
  • 役務(導入コンサルティング、導入設定・マニュアル作成・導入研修、保守サポート):合計200万円が上限。ソフトウェアと対になっている役務に限る

逆に、申請・報告の代行費用、リース・レンタル、中古品、交付決定前に購入したITツールなどは対象外です。また、導入するツールに比べて役務の費用が著しく高い構成は認められません。

生成AIツールで使うときの注意点は?

1. 自社で直接契約したサービスは対象にならない

補助の対象は、IT導入支援事業者が登録したITツールだけです。生成AIのサービスを自社で直接申し込んで使っている場合、その費用は対象になりません。導入を検討しているツールが登録されているかは、事務局のITツール検索で確認できます。

2. 「汎用ツール」だけでは申請できないことがある

公募要領では、業種・業務を限定しない「汎用・自動化・分析ツール」(汎用プロセス)だけを持つITツールは、単独では申請できないとされています。ほかの業務プロセスを持つツールと組み合わせて初めて申請できます。チャット型の生成AIがこの区分で登録されている場合があるので、ITツール検索の「プロセス」欄を必ず確認してください。

3. 交付決定の前に契約しない

公募要領には「交付決定前にITツールを契約、発注した場合は補助対象とならない」と明記されています。すでに使っているAIツールの利用料を、あとから補助の対象にすることはできません。

4. 3年間の事業計画と、場合によっては賃上げが必要

通常枠では、交付申請の翌事業年度から3年間の計画で、次の目標を立てる必要があります。

  • 1年後の労働生産性を3%以上向上させる
  • 計画期間の労働生産性の年平均成長率を3%以上にする

(過去に一定の枠で交付決定を受けた事業者は、それぞれ4%以上)

補助額が150万円以上の場合は、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3%以上にすること、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にすることなどの賃上げ計画も必須です。目標が達成できないと補助金の返還を求められる場合があります。150万円未満でも、過去に交付決定を受けた事業者には賃上げ要件がかかります。

5. 申請前の準備に時間がかかる

申請には「GビズIDプライム」のアカウントと、IPAの「SECURITY ACTION」(★一つ星または★★二つ星)の宣言が必要です。GビズIDプライムは取得に時間がかかることがあるので、検討を始めた時点で手続きしておくと安心です。

申請の流れは?

公募要領に示されている流れは次のとおりです。

  1. 事務局サイトで公募要領・交付規程を読む
  2. IT導入支援事業者・ITツールを選び、商談・見積もりをする(まだ契約しない)
  3. IT導入支援事業者から「申請マイページ」への招待を受け、マイページを開設する
  4. IT導入支援事業者と一緒に交付申請を作成し、事務局へ提出する
  5. 交付決定を受ける
  6. ITツールを契約・導入し、代金を支払う
  7. 実績報告を提出する
  8. 補助金の額が確定し、補助金が交付される(後払い)
  9. 導入後、効果報告を行う
デジタル化・AI導入補助金の申請の流れ。公募要領を読む、IT導入支援事業者とITツールを選ぶ(まだ契約しない)、申請マイページを開設、交付申請、交付決定、ITツールを契約・導入・支払い、実績報告、補助金の交付、効果報告
FIG.02申請の流れ(契約は交付決定の後)

補助金は、支払いを済ませて実績報告をした後に交付されます。導入費用はいったん全額を自社で用意する必要があります。

締切はいつ?

事務局の事業スケジュール(2026年10月1日確認)では、通常枠は次のとおりです。

締切 交付決定日(予定) 事業実施期間・実績報告期限(予定)
5次:2026年9月29日(火)17:00(締切済み) 2026年11月9日(月) 交付決定〜2027年4月30日(金)17:00
6次:2026年10月30日(金)17:00 2026年12月10日(木) 交付決定〜2027年5月31日(月)17:00
7次以降 未公表 未公表

5次は締め切られました。これから申請する場合は6次(2026年10月30日(金)17:00締切)が対象になり、間に合わない場合は7次以降の公表を待つことになります。事務局は、確定した回のスケジュールだけを順次公表しています。

ツールを選ぶ前に、業務を分解する

補助金の審査では「そのツールで、どの業務の生産性がどれだけ上がるか」を事業計画として示す必要があります。ところが実際には、「補助金が出るなら、とりあえず生成AIを入れたい」という順番で検討が始まることが少なくありません。

TERRAISEでは、どの業務も入力 → 処理 → 出力に分けて、AIに渡せる工程と人が判断する工程を切り分けるところから始めます。たとえば「見積書の作成」なら、入力(図面・過去の見積もり)、処理(数量の拾い出し・単価の当てはめ)、出力(決まった書式の見積書)に分けると、下書きまではAIに任せられるのか、最後の判断は人が持つのかが見えてきます。ここが決まっていると、必要なツールの機能も、事業計画に書く効果も具体的になります。

また、ツールを入れても使い方が定着しなければ、生産性は上がりません。導入と同時に社員研修を行う場合、研修の費用は人材開発支援助成金で検討できる場合があります。ただし、同じ経費を補助金と助成金の両方で受け取ることはできません。どの費用をどの制度に当てるかは、事前に分けて考えておきます。

まとめ

  • 生成AIツールは、登録されたITツールとしてIT導入支援事業者から導入する場合に対象になり得る
  • 通常枠は補助率1/2以内、補助額5万円〜450万円。150万円以上は賃上げ計画が必須
  • 交付決定前の契約は対象外。汎用プロセスだけのツールは単独で申請できない
  • 5次(2026年9月29日17:00)は締切済み。6次の締切は2026年10月30日17:00。7次以降は未公表(2026年10月時点)

設備やオーダーメイドのシステムでAIを使う場合は、中小企業省力化投資補助金が候補になります。制度の違いは補助金と助成金の違いでまとめています。

「どの業務にAIを使うか」が決まっていない段階でも構いません。60分の無料相談で業務をひとつ挙げていただければ、入力・処理・出力に分解して当たりをつけます。社内検討用には会社紹介資料もご用意しています。研修費用の助成を検討中の方は助成金を活用した生成AI研修もご覧ください。

出典(2026年10月1日確認)

TERRAISE代表 舟橋遼亮のポートレート

Supervised by — 監修

株式会社TERRAISE 代表取締役CEO 舟橋 遼亮

2025年2月に株式会社TERRAISEを創業。お茶の水女子大学 外部講師、Google AI Student Ambassador(2025年)を務める。上場企業や全国の高校などで、AIの活用を実際に指導している。

執筆:株式会社TERRAISE(生成AI研修 AX Academy・AI導入コンサル AX Compass・AI顧問・教育機関向けAI教育)。最終更新日:2026年10月1日

よくあるご質問

Q01デジタル化・AI導入補助金2026とは何ですか?

中小企業・小規模事業者などが、生産性向上に役立つITツール(AIを含むソフトウェア、クラウドサービス等)を導入する費用の一部を補助する国の制度で、IT導入補助金の後継にあたります。事務局に登録されたIT導入支援事業者と共同で申請します。

Q02通常枠の補助率と補助額はいくらですか?

通常枠の補助率は1/2以内(一定の賃金条件を満たす場合は2/3以内)です。補助額は、業務プロセスが1つ以上のITツールで5万円以上150万円未満、4つ以上で150万円以上450万円以下です(2026年10月時点の公募要領)。

Q03ChatGPTやClaudeなどの生成AIは対象になりますか?

事務局に登録されたITツールであれば対象になり得ます。ただし、自社で直接契約したサービスは対象になりません。また「汎用・自動化・分析ツール」のプロセスだけを持つツールは単独では申請できず、ほかの業務プロセスを持つツールと組み合わせる必要があります。ITツール検索で登録状況を確認してください。

Q04締切はいつですか?

事務局のスケジュールでは、通常枠の5次締切(2026年9月29日(火)17:00)は締め切られました。6次締切は2026年10月30日(金)17:00です。7次以降は2026年10月時点で未公表です。最新の日程は事務局サイトで確認してください。

Q05すでに契約しているAIツールの費用は補助されますか?

されません。交付決定の前に契約・発注・支払いをしたITツールは補助の対象外です。補助金を使う場合は、交付決定の通知を受けてから契約します。

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