結論:生成AIの研修なら「人材開発支援助成金」、AIツールの導入なら「デジタル化・AI導入補助金」、AIを使った自社専用のシステムなら「中小企業省力化投資補助金」、高校なら「DXハイスクール」が主な候補です。 どの制度も、研修開始や契約の前に手続きが必要で、費用は原則後払いです。
「助成金は使えますか」という質問は、生成AI研修の相談で最もよくいただくものの一つです。この記事では、AIの研修と導入で使える主な公的支援を目的別に一覧にし、それぞれの詳しい解説記事へ案内します。制度の内容は2026年10月時点で、厚生労働省・中小企業庁系の事務局・文部科学省などの公式資料を確認したものです。 年度途中でも要件や日程は変わるので、申請前には必ずリンク先の一次情報を確認してください。

目的別:AIの研修・導入に使える制度の一覧
| 目的 | 制度(種類・所管) | 助成率・補助率と上限(2026年10月時点) | 手続きのタイミング |
|---|---|---|---|
| 社員の生成AI研修 | 人材開発支援助成金(リスキリング支援コース)(助成金・厚生労働省) | 中小企業:経費75%+賃金1人1時間1,000円。経費は1人1訓練30万〜50万円が上限 | 研修開始の6か月前〜1か月前に計画届 |
| 短時間の研修(東京都内) | 東京都「DXリスキリング助成金」(助成金・東京しごと財団) | 経費の3/4。1人1研修7万5千円、1社100万円まで | 研修開始の1か月前までに申請 |
| 生成AIのツール・クラウドサービス | デジタル化・AI導入補助金2026(補助金・中小企業庁系) | 通常枠:1/2以内(条件により2/3)、5万〜450万円 | 交付決定の後に契約。通常枠5次は締切済み、6次は2026年10月30日17:00締切 |
| AIを使った自社専用の設備・システム | 中小企業省力化投資補助金(補助金・中小企業庁系) | 一般型:中小企業1/2(特例2/3)、750万〜8,000万円(特例で最大1億円) | 交付決定の後に着手。一般型第8回は2026年10月16日17:00締切 |
| 高校の生成AI授業・環境 | DXハイスクール(補助金・文部科学省) | 定額補助。新規1,000万円、継続500万〜300万円(重点類型は加算) | 設置者が申請。令和8年度分は2026年1〜2月に受付 |
補助金と助成金の違いや組み合わせ方は補助金と助成金の違いで、ここにない自治体の制度の探し方は公的支援の探し方で解説しています。
生成AI研修で使うなら:人材開発支援助成金
生成AI研修で最初に検討するのは、厚生労働省の人材開発支援助成金です。7つのコースのうち、事業展開等リスキリング支援コースは、企業内のDX化などに必要な専門的な知識・技能を習得させる訓練を対象にしています。
- 対象:雇用保険の被保険者に、業務命令で受けさせる10時間以上のOFF-JT
- 助成:中小企業は訓練経費の75%と、訓練中の賃金1人1時間1,000円(大企業は60%・500円)
- 期限:訓練開始日の6か月前から1か月前までに計画届、訓練終了の翌日から2か月以内に支給申請
- 期間:このコースは令和4〜8年度の期間限定。現行の案内では令和8年度末(2027年3月末)まで
注意したいのは、ツールの操作説明だけの研修や、職務に直接関係しない研修は対象外になることです。厚生労働省は、AIツールの導入費用を研修費として申請できるとうたう営業にも注意を促しています。詳しくは人材開発支援助成金で生成AI研修を受けるにはをご覧ください。
AIツールを導入するなら:デジタル化・AI導入補助金2026
旧IT導入補助金にあたる制度です。生成AIのサービスも、IT導入支援事業者が事務局に登録した「ITツール」であれば対象になり得ます。自社で直接契約しているサービスや、交付決定前に契約したツールは対象外です。汎用ツールだけでは申請できないルールもあるので、デジタル化・AI導入補助金2026で生成AIツールを導入するにはで確認してください。
AIの設備・システムを作るなら:中小企業省力化投資補助金
AIの画像判定で検査を自動化する、受注データから生産計画の案を組むなど、自社の業務に合わせて専用に設計したシステムは、省力化投資補助金の一般型で検討できます。生成AIサービスの利用料やパッケージソフトの単体導入は対象外です。対象になる・ならないの線引きは省力化投資補助金はAIに使える?で整理しています。
高校で生成AIの授業・環境を整えるなら:DXハイスクール
文部科学省の高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)は、情報・数学等の教育を重視し、ICTを活用した探究的な学びを強化する高校等を対象にした定額補助です。支援対象の例に「動画・画像生成ソフト等」や「専門人材派遣等業務委託費」が挙がっています。申請者は教育委員会や学校法人です。詳しくはDXハイスクールの予算で、生成AIの授業と環境を整えるにはをご覧ください。
どの制度にも共通する3つの注意点
- 事前の手続きが必要:研修の助成金は開始の1か月前までに計画届。補助金は交付決定の後に契約・発注。すでに始めた研修や契約済みのツールは、多くの場合対象外です
- 原則は後払い:費用をいったん全額支払い、そのあとで支給・交付されます
- 同じ経費の二重取りはできない:研修は助成金、ツールは補助金、と経費を分けて考えます

実際の活用例
TERRAISEの生成AI研修(AX Academy)では、製造業A社(社名は非公開)の19名・計15時間(3日間)の研修で、人材開発支援助成金(リスキリング支援コース)を活用しました。
研修は、受講者の実際の業務に近い題材を使い、業務を入力・処理・出力に分けて「AIに渡せる工程」と「人が判断する工程」を切り分けるハンズオン形式です。助成金を使うからといって研修の中身を条件に合わせて薄めるのではなく、研修の設計はそのままに、時間数や実施記録の形式を制度の条件にそろえています。
助成金の活用を検討するときのチェックリスト
- 何に使いたいか(研修/ツール/専用システム/学校の環境)が決まっているか
- 研修開始日や契約日から逆算して、計画届・交付申請に間に合うか
- 雇用保険の加入状況、GビズIDプライムなど、申請の前提がそろっているか
- 研修の内容が、受講者の職務に直結する専門的な知識・技能になっているか
- 申請手続きを担う人(社内の担当者、または顧問の社会保険労務士)が決まっているか
- 賃上げ目標や効果報告など、申請後の義務を経営として受け入れられるか
TERRAISEができること
TERRAISEでは、助成金の活用を前提とした生成AI研修のカリキュラム設計と、申請に必要なカリキュラム・時間割・実施記録の整備を支援しています。申請手続き自体は、企業ご自身(または顧問社会保険労務士)に行っていただく形になります。
「そもそもどの制度が合うのか分からない」という段階でも構いません。60分の無料相談で研修の目的と規模をお聞きし、対象になりうる制度を一緒に整理します。社内での検討には会社紹介資料をご利用ください。
- 助成金を使った研修の進め方:助成金を活用した生成AI研修
- 製造業でのAI活用:製造業向けのご案内
- 高校・大学でのAI教育:教育機関向けのご案内
出典(2026年10月1日確認)
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」「事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)令和8年8月3日版」(PDF)
- 東京しごと財団「令和8年度 DXリスキリング助成金」
- 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局「デジタル化・AI導入補助金2026」「事業スケジュール」「通常枠」「公募要領(通常枠)」
- 中小企業省力化投資補助金事務局「中小企業省力化投資補助金」「一般型の概要」「一般型 公募要領(第8回公募)」
- 文部科学省「令和8年度 高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」
