「AI顧問」「社外CAIO」という言葉を、最近よく見かけるようになりました。生成AIの導入を検討する経営者から「AI顧問とは何をしてくれるのか」「AI研修やコンサルと何が違うのか」という質問を受けることが増えています。この記事では、AI顧問の役割と費用の目安、他のサービスとの違いを整理します。
AI顧問(Fractional CAIO)とは
AI顧問とは、経営者の隣で、AI戦略に関する意思決定を継続的に支援する役割のことです。「Fractional CAIO」とも呼ばれます。CAIOはChief AI Officer(最高AI責任者)の略で、Fractionalは「一部の時間だけ関わる」という意味です。つまり、社内に専任のCAIOを採用する代わりに、外部の専門家が一定の時間・頻度で経営に伴走する形態を指します。
具体的には、次のような役割を担います。
- 月次の経営会議への同席によるAI戦略の意思決定支援
- 業務棚卸し(どの業務をAIに渡すかの判断)
- AIエージェント・パイプラインの構築
- 社内推進体制づくりと人材育成
AI研修・AI導入コンサルとの違い
AI顧問と混同されやすいサービスに、AI研修とAI導入コンサルがあります。それぞれの役割は次のように整理できます。
| サービス | 対象 | ゴール |
|---|---|---|
| AI研修 | 現場担当者〜全社 | 実業務を題材にしたスキル習得。研修終了後、自分の業務用AIを持ち帰る |
| AI導入コンサル | 部門長・経営企画 | 特定の業務・部門を対象に、診断からPoC・実装・定着までを期間を区切って進める |
| AI顧問(Fractional CAIO) | 経営者・決裁者 | 全社のAI戦略・意思決定そのものに、継続的に伴走する |
研修は「知識とスキル」を、導入コンサルは「特定業務の実装」を、AI顧問は「経営判断そのもの」を対象にしている、という違いです。実際には、まず研修や導入コンサルから始めて、その後にAI顧問として継続的な伴走に移行するケースもあります。

費用の目安
TERRAISEのAI顧問サービスは、月20万円〜(内容に応じて個別にご提案)でご案内しています。稼働時間やMTGの頻度は、経営会議への同席頻度や業務棚卸しの範囲に応じて個別に設計します。
大手コンサルティングファームの伴走支援と比べると、稼働時間や関わり方を柔軟に調整できるのが、Fractional(一部時間型)のAI顧問の特徴です。まずは3ヶ月〜で、実際の伴走の中身を確認してから、必要に応じて関わり方を見直すという進め方をおすすめしています。
AI顧問を検討すべきタイミング
次のような状況にある企業は、AI顧問の導入を検討するタイミングかもしれません。
- 生成AIの情報は入ってくるが、経営として何から着手すべきかの優先順位がつけられない
- 研修や個別のツール導入は行ったが、全社としての戦略に落とし込めていない
- 社内にAI戦略を相談できる相手がおらず、意思決定のスピードが上がらない
- コンサルに単発で依頼するより、継続的に伴走してもらいたい
AI顧問の業務内容 — 契約後、何が起きるのか
「社外CAIOは具体的に何をするのか」は、契約前にいちばん確かめておきたい点です。TERRAISEのAI顧問の場合、契約後はおおむね次の順で進みます。
- 業務棚卸し(2〜3週間) — NDAを締結したうえで、業務をタスク単位に分解し、どの業務をAIに渡すかを判断します
- 提案・PoC(2〜4週間) — 対象業務を絞って、小さく試します
- 実装(1〜3ヶ月) — 実際に業務で使うAIエージェント・パイプラインを構築します
- 定着・伴走(月次) — 月次の経営会議に同席し、次の打ち手を経営者と一緒に決めます
業務棚卸しでは、どの業務も 入力(INPUT)→ 処理(PROCESS)→ 出力(OUTPUT) に分けて考えます。出力の形が決まっている業務は自動化の候補に、入力はそろうが判断が要る業務は「AIが下書きし、人が確定する」形に、経営判断そのものは「AIを思考を加速する道具として使う」形に仕分けると、AIに任せる範囲と、経営者が持つべき判断がはっきりします。
AI顧問の選び方 — 契約前に確認したい5つのこと
AI顧問・社外CAIOを名乗るサービスは増えていますが、関わり方は提供者によって大きく違います。契約前に次の5点を確認しておくと、失敗を避けやすくなります。
- 助言で終わるか、手を動かすか — 報告書の納品で終わるのか、実際に動くAIエージェントやパイプラインの構築まで担当するのかを確認します
- 業務を仕分ける方法を持っているか — 「何からやるか」を決めるための、業務棚卸しの進め方を説明できるかを見ます
- 情報の扱い — NDAを結ぶタイミングと、社外に出せない情報をどう扱うか(ローカルLLMなどの選択肢があるか)を確認します
- 契約期間と見直しのしかた — 最低契約期間と、途中で関わり方を見直せるかを確認します
- 契約が終わったあと、社内に何が残るか — 推進体制や人材育成まで含めて、顧問がいなくなっても回る状態を目指しているかを見ます
実際の導入例
LSIGN POST株式会社は、TERRAISEのAI顧問サービスの第一号契約です。業務の棚卸し結果と経営数字をもとに、定型業務の自動化はAIに、意思決定は経営者に、という役割分担でAIエージェントと月次の打ち手を組み立てています。経営視点でのAI導入検討から、実際に業務で使うAIエージェントの構築までを継続的に支援している例です。
まとめ
AI顧問(Fractional CAIO)は、経営判断そのものにAIの視点を持ち込む、継続的な伴走サービスです。研修やコンサルとは対象とするレイヤーが異なり、経営の隣に立ち続けることに価値があります。まずは自社が「研修」「導入コンサル」「AI顧問」のどの段階にいるかを整理するところから始めてみてください。
